確定申告は税金を計算するだけじゃない。過去の数字と比較してみる。

1年間の売上、経費を集計して利益を出して税金を計算し、確定申告をして税金を払ってそれで終わりではありません。

1年の決算の数字が固まったら、過去の数字と比較してみることが大事です。

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比較しないとわからない

今年は確定申告の期限が1か月延長となりましたが、フリーランスの方の中には、すでに1年の数字を固めて確定申告もすでに済ませた方もいらっしゃると思います。

確定申告が終わり、ひと息つきたいところですが、せっかく1年間の成績を苦労して集計したのですから、その数字を今後の活動の役に立てたいものです。

今回の申告でいうと2019年分の数字だけを眺めていても、比較する対象がないと今回の金額が多いのか少ないのか、適正かどうかよくわかりません。

もちろん経営者の肌感覚として、だいたいこのくらいという感覚を持っていることはとても大事で、中には決算書を少し見ただけでおかしな点に気づく経営者の方もいらっしゃいます。

ただ最初からそのような感覚を身に付けるのは簡単ではないと思います。

なので最初の一歩として、まずは前年(今回なら2018年)の数字と並べて比較してみて、今回は増えたのか減ったのか、そしてその理由は一体何なのかをしっかり解明してみましょう。

(本当は確定申告の提出前に比較することが大事です。比較してみておかしな点、間違いに気づくことがあります。)

特に比較したい項目

次の項目を特に注意して比較してみましょう。

売上

いわずもがな、まずは売り上げがないと始まりません。

増えてもただ喜ぶのではなく、たまたまイレギュラー的な収入があったからなのか、今後も売上増加が見込めるものなのか、要因をしっかり把握しましょう。

また、減っていたとしても原因がわかれば次の年に向けて対策も考えられるはずです。

集計している資料があるなら、月別や商品・サービス別などの比較もおすすめです。

原価と粗利

原価は売上に直接紐づく費用です。わかりやすいのは商品の仕入れですね。

売上から原価を引いた数字が、売上総利益、いわゆる粗利といわれるものです。

粗利がしっかり稼げているかという点は、事業を継続していく上でもとても重要です。

粗利がしっかりと出ていないと、家賃や光熱費、従業員を雇っている場合は給料などを払うことができません。それでは事業を続けられなくなってしまいます。

粗利を比較するときは、単に数字を比較するだけではなく、粗利を売上で割ってみて、売上に対する粗利の比率=粗利率(%)で比較してみましょう。

比率で比較してみて、前期と大きく差が出ていたら必ずその原因を解明しましょう。

売上の単価が上がったからなのか、原価で値上げがあったからなのか、在庫がある場合は在庫は正確に把握できているかなど、その数字をしっかり説明できることが大事です。

固定費

固定費は、一般的には、売上の増減に関係なく毎月一定額発生してくる経費のことをいいます。

家賃や、光熱費、給料、通信費などです。

これらの合計の固定費を前述のように粗利が賄えている状況でないといけません。

・粗利>固定費

という状況です。

これが

・粗利<固定費

だと、いわゆる赤字ですので、お金も減ってしまっている状況です。自分の貯金を食いつぶしているようなもので、これが続くと危険です。

例外として、減価償却費というものがあります。

建物や設備、備品など一定額以上の資産を、買った時に一度に経費にするのではなく、使う期間にわたって少しずつ経費に計上する費用です。

減価償却費は、経費に計上する時には実際にお金は出ていないので、この費用で赤字になっている分には問題ありません。

利益を出すには粗利を上げるか、固定費を下げることが考えられます。

固定費を比較してみて、余計な支払いがないか、本当に必要なものかどうか検討して削れるものは削ってみましょう。

なんとなく毎月払っているような費用は、じわじわ首を絞めることになります。

お金

前期からお金がちゃんと増えているか確認しましょう。一番大事な点です。

利益を出すことは大事ですし、利益を出さないとお金は増えません。

一方、利益が出ていてもお金が増えていないという事があります。

売上の入金が滞っていたり、借入の返済があったりと理由は色々考えられます。

お金がないと事業を続けられませんし、やりたいことに投資もできません。

お金も増えているかしっかり確認しましょう。

過去3年や5年と比較

前年だけでなく、過去3年や5年で比較してみると過去からの推移が見れるのでおすすめです。

売上、粗利、固定費など主要な項目だけでも遡って比較してみるといいでしょう。

次の年に活かすため

比較してみると、前年から1年間どんなことがあったか振り返ることができます。

その内容をしっかりと把握することで、次の行動をどう取るべきかが見えてくるはずです。

過去との比較は、目指す未来を実現するためにあります。

過去と比較し、現在地をしっかり把握して、次のステップのために活用していきましょう。

■編集後記

東西線に乗って九段下駅に降りたら、改修工事で改札ががらりと変わっていて驚きました。迷ったのが明日の通勤時でなく今日でよかったです。今日も今やれることを進めました。