決算日が来る前にやるべきこと

税金の申告と納税の期限は、通常の場合その年度が終わってから二か月後が期限ですが、決算が終わる前に対策をしておく必要があります。

税金の計算は決算の日までの事象を基に計算する

3月決算の会社を例に話をしてみます。

3月決算の会社、というような言い方をしますが、その場合は、

4月から次の年の3月までの12か月が一つの計算期間の単位になります。

その一年間に起きた取引を記録して、数字を作っていきます。

そして3月までの数字が確定したところで、税金を計算する過程に移ります。

税金を計算して税務署に申告して納税する期限は、通常であれば決算が終わってから2か月後です。

3月決算の場合は、5月が期限になります。

なので5月になってから、いざ計算してみて税金が多く出たから節税をしたいと思っても、3月はもう終わってしまっていますから対策が出来ないわけです。

今はコロナウイルスの影響もあり、この申告と納税の期限については、柔軟な対応が可能となっています。

コロナウイルスの影響であれば申告が遅れても大丈夫で、申告と納税が出来るようになった時点で申告と納税をすればよいことになっています。

ただ、申告と納税の期限は延びていますが、3月までの一年間の取引について税金の計算をするという事に変わりはないわけです。

対策を打つのなら、決算が終わる3月中には最低でもやっておく必要があるわけです。

決算対策

一般的に決算直前の対策としては次のようなことがあります。

利益が出ている場合

利益が思ったより出て税金が多くなりそうだという時は、経費を出して利益を圧縮するというのが通常考えることです。

・業績が良かったので、決算賞与を出して従業員に還元
・社員旅行で従業員を労う
・社内の古くなった備品の買い替え(パソコン、コピー機など)
・設備関係の修理など
・不良在庫や不良債権の処理

利益が出ている会社は、少しでも税金を少なくしたいと考えたくなると思います。

ただ、過度に税金を気にしすぎて無駄な出費をしてまで節税をしてしまうと、結局会社にお金が残らないことになります。

会社にとって本当に必要な節税策かどうか、検討する必要があります。

在庫の処分や、固定資産で不要なものを処分するのは、お金が出ていかずに損失として計上できるので、不要なものがないかの検証はぜひやりましょう。

あまり業績が良くない場合

業績が良くない場合でも、やることがないわけではありません。

銀行や外部に決算書を見せる必要がある場合には、出来る範囲でよく見せたいものです。

・臨時的な支出や損失は特別損失に計上して、営業利益、経常利益を良く見せる
・保険を見直し、解約も検討する
・経費に入っているもので、来期分のものは前払費用にする

など、できることはあります。

税金面で言うと、最終的に赤字の場合は、税金を計算する基になる利益がありませんので、利益に対する税金は発生しません。ただ、均等割という税金は赤字でも払う必要があります。

それでも、消費税の納税義務がある場合は、消費税は納税しないといけませんので、その納税資金は確認しておく必要があります。

届出関係

税務的なことで言うと、税務関係の届出は決算が終わる前に提出しなければならないものが多いです。

・減価償却方法の変更
・消費税関係の届出(課税事業者選択、簡易課税選択など)
など

来期以降の話であっても、決算が終わる前に検討しておかなければいけません。

一番の決算対策は日頃から経理を進めておくこと

決算の対策をするためには、決算時点である程度最終的にどのくらいの業績になるかという事を予測していなければなりません。

なにも経理をしていない状態で、決算対策と言われてもなにもできません。

日頃から経理をコツコツと進めておき、業績をリアルタイムで把握しておくことが一番の決算対策であると言えます。

それが出来ていれば、日ごろからリアルタイムの数字を基に正しい経営判断ができ、決算ギリギリに対策をするということもなくなります。

来期以降の予測も立てやすくなりますし、それによって税務関係の届出の判断も変わってきます。

経理を甘く見ずに、しっかり取り組んでいきましょう。

■編集後記

麒麟がくるの録画消化がようやく追いつきました。