税理士は数字に強いのか。

数学が出来なくても税理士になれます。

数字に強い=計算が得意?暗算ができる?

一般的に、税理士には数字が強いというイメージがあるようです。

確かにこの仕事をしていると、「税理士さんだから、数字に強くて良いですね」という事を実際よく言われます。

でも言われる度にいつも「そうかな?」と心の中で思ってしまう。

数字に強い、と言われるといまいちピンとこないのです。

これは私自身が、数字に強いと思ったことが一度もないというのも理由としてあります。

むしろ数字は苦手です(おいおい。でもほんと)

数学が嫌いで文系を選択したくらいなので。

なので「数字に強い」といわれると全然ピンとこないし、むしろドキッとしてしまうのは、そういう後ろめたさもあるせいだと思っています。

その言葉を額面通りに受け取って、計算が速いとか暗算が得意という数学的な事を指すとしたなら、私には全く当てはまりません。

そこで比較されると私はもう太刀打ちできませんので。

(もちろんお客様は私のそんな弱点(?)知りませんので、ありがたくお言葉頂戴しております)

でも額面通りではなく、もう少し意図を汲み取ろとするなら、「数字の意味がわかっている・理解している」という事を仰っていただけているのかなと。

決算書のこの数字はこういう事ですよとか、こうこうこうだから税金がこうなりますとか。

税理士という立場を考えると、当たり前といわれることではありますが。

ここまでひっくるめて「数字に強い」と仰っていただけているのかなと、最近はそう解釈をしています。

(もちろんお客様に数字に強いと言っていただけることはありがたい事この上ないです)

「数字に強い」の本当の意味

もし、「数字に強い」という意味が、数学的な意味だとしたら。

数字に強い税理士はどのくらいいるのでしょうか(普通にたくさんいるかな…?)

数学的な数字の強さが税理士に必要な要素だとしたら、私は税理士にはなれていないでしょう。

さっきも言ったように、なにしろ数字が嫌いで文系を選択したくらいですから。

そもそも税理士のベースとなる簿記の勉強って、経済学部とか商学部とか商業高校とかで習う事からもわかるように、文系側に分類されています。

数字に強い=数学が得意=理系とするなら、税理士試験も文系寄りではないはず。

(もちろん文系の人でも数学が得意な人はいます)

でもそうではなく文系の人が多くなるのだから、別に数学的な数字の強さは必要ないのかなと。

実際、試験だって足す引く掛ける割るなら電卓がやってくれますし、桁数が増えても数字を読み間違えないレベルであればなんとかなります。

なので、数学的な数字の強さがなくても税理士にはなれます。

そう考えると、数字に強いという意味は、数学的な数字の強さではなく、

複雑怪奇な税金について詳しいという事を言うのかなと思います。

数字自体は結果にすぎず、その数字がはじき出されたプロセスをちゃんと理解しているかどうか、説明できるかどうか。

この点が「数字に強い」という本当の意味するところなのだと思います。

むしろ必要なのはコミュニケーション力

この業界に入る前、

税理士は数字だけ見ていればいいから、とか

コミュニケーション力とかそんなに必要ないとか、

人との付き合いが苦手だから税理士になりたい、といったような声を割と耳にしていました。(今でもたまに)

でも実際はこれ、全くの逆です。

誤解を恐れずに、大袈裟に言うならば、

別に数字に強くなくてもいいけど、コミュニケーション力は必要だという事。

経営者の方と仕事をするのに、コミュニケーション力がいらないという事の方がおかしい話ではあります。

抜きんでたコミュニケーション力が必要かというとそうではないですが、経営者の方と対峙するのですから、それ相応の力というのは必要だと思っています。

税理士を数字・申告書を作るだけの仕事と捉えるならば、それこそAIで十分でしょう。

でも幸いにも(?)税理士はそれだけで完結する仕事ではありません(その人のスタンスによりますが)。

税理士こそ、数字の裏にあるストーリーを読み取る想像力と応用力、そしてコミュニケーション力が必要になります。

結局、仕事は「人」と「人」との間で行われるものですから(税理士に限ったことではないですが)。

どんな人と仕事をしたいか。

この人と仕事をしたいと思っていただけるか。

税理士という肩書の前に、備えておくべきものがあることを心掛けていきたいです。

■編集後記
新居近くの美容院に(徒歩1分笑)。とても素敵な美容院でした!こういうサービスの提供の仕方は勉強になるなぁと思えるお店でした。

■一日一新
新しい美容院

■一日一曲
「異邦人」久保田早紀
もはや説明不要。編曲は萩田光雄先生。